Sunday, May 07, 2006

悪友、再会。(インドの話)



ジャパニー・クマール / 関西国際空港にて


つかの間の再会だった...

「ゴメンナサイネ、オニイサン、コンカイハイケルトオモッタデスケド、イケマシェンデシタ...」
「いいよ、気にしてないから。コイバートナヒンハイ、ジャパニー...」
「ティークハイ、...ソレジャ、マタネ。」
印度から日本に来ると云って、来なかったには去年の話。

じゃ、来ないのならコチラから行けばいい... 
と思い、3月頃インドへ旅立とうと思ったのだが、結局今年も辿り着く事はできなかった。

自業自得なんだが、行けなかった事に落胆していた頃 〝ラジ・ギール〟 から又電話があった。
ジャパニーからだった。
「4ガツニワタシ、ニホンヘイキマス。」
相変わらず、流暢な〝ニホンゴ〟で話しかけてくる。
「サマスタイ、ジャパニー... 待ってるよ。」


彼と逢ったのは、もう10年も前の話。
その時の僕は旅なれていなかったし、一緒に同行していた親父は
「ニホンゴを話して寄って来るインド人が一番あやしい。」
などと云っていたから、とりあえずニホンゴで寄って来る連中を毛嫌いしていた。

この時の旅では幾度と無く憤慨し、印度人と言い合いになった事も多々あった。
旅のベテランの親父は、この時の俺をどう観ていたのだろう??
親父の場合、日本人だからと寄って来る印度人には素ムシをし、ただ去って行くのを待っていたが、いかんせん若かった僕は常に敵意むきだしで、〝日本人をナメるな!!〟とばかりに
「うるさいねん!!」
「お前、しつこいなぁ~。どっかいけやっ!!」
など、毎日一人や二人にはイラだち怒っていた。

そんな道中にも嫌気がさしかけた頃、色んな理由があって 〝ビハール州〟 の小さな町 〝ラジ・ギール〟 へ行く事になった。
この時、一生のお付き合いになるであろう二人のインド人に逢うなんて、微塵(みじん)にも思ってもいなかった。

バナラシから寝台列車で半日揺られ、目的地に到着。
静かな所だった。線路には牛がたむろし、我がもの顔で草を食べ寝ている。
後で聞いた話だが、インドには野良犬ならぬ、野良牛がいたり、野良馬なんぞもいると。
その牛達が野良かどうかはしらないが、インドの田舎の風景だった。

直ぐに相乗りの馬車を捕まえ、親父の友達が経営する 〝ホテル・シッダルタ〟 へ。
簡素なスタイルだった... (10年前の話だけれど。)
敷地の真ん中に大きな円形の花壇があり、それを囲む様に個室が10部屋ほど並んでいる。
色はパステル調のピンクかブルー、どちらにせよインドではよく見かける色。
いつでもゲートはオープン、閉めるのは夜眠る前で朝は早くから開けていた。

こちらに来て次の日ぐらいに、朝早く誰かが部屋をノックする。
コンコンコン... コンコンコン...
時計を見れば6時前。 誰だろう?? こんな朝早くに。
親父かいとこの兄貴だと思い、目をこすりながらドアを開ける。
清々しい空気の中に立っていたのは、見知らぬサリーを着た女の人だった。
身ぶり手ぶりで何かを僕に一生懸命いっているが、ヒンディーなので全く解らない。
ふと彼女の足元を見てみると、バケツにミルクが入っている。
...??
んっ?? もしかして、と思った時にホテルのマネージャーの 〝サンジャイ〟 が僕にこう云う。
「ミルクいらないか聞いてるよ。」
...思った通り。
「いらんわ.....っていうか...」
言葉がでてこなかった。

でも、ここら辺りから少し僕に変化があったのだろう。
又、寝床に入ってこう思った。
日本の常識をコチラに持って来ると、どうも自分がヤラれていってる...
俺は試されてるんか??... エッ!! 誰に..??
...なんて。

そして次の日の朝も、同じ時間に誰かがノックする。
まさか?? でも昨日いらんて云ったしなぁ~... と思いながらドアを開けると、そこには少年がバケツを片手に立ち尽くしている。
しかも、大きな二重の目でじっと俺を見ながら。
遠目のサンジャイに目をやると、インド人特有の首をふる仕草を僕にする。
その時何かがフッ切れ、おかしくなって笑ってしまった。
少年はなんで..?? ってな顔をしている。
正しくその顔は昨日までの自分だったろう、そう思うと面白さも2倍だった。

「サンジャイ!! 今からチャイ作って。 ガラムチャイ、ディジエ!!」

サンジャイは遠目で僕に首をふる。OKのサイン。
皆の分までミルクを買い、そのミルクで仕上がったチャイを片手に、今度は僕が寝ている親父といとこの兄貴の部屋をノックした。(笑

肌寒いラジ・ギールの朝、中庭で飲む熱いチャイは格別に美味しかった。
少年に感謝した、10年前の1月のお話。

つづく...


今流している曲
Man Dole Mera Tan Dole (Nagin) / Lata Mangeshkar

僕が世界で一番好きな大道芸人、コブラ使いのテーマ曲。

2 Comments:

Anonymous said...

ヤバイ!!おもしろい!!

インド行った事ある人って2度と行きたくない!って人とハマる人と分かれるらしいね。
私はどうなんやろ。

YU君家ってインターナショナルな家族なんやね。なんか妹さんの話もここで納得。
YU君のナマステも。

いい環境でうらやましいな~。
続きが気になる★

本やテレビの経験談より身近な人の話の方がおもしろいわぁ。

yu said...

マロンさん...

多分マロンさんはハマるよ。
ん~、そんな気がする。
直ぐにサリーとか着て喜んでそうな感じ。

ほんま不思議の国やで~、インドは...(笑

内容おもしろかったデスカ??
悪友、再会。(インドの話)
まだまだ、続きますよ。